2005/10/29別れ


2005/10/29 

この日? 昨日?

何でかわからんけど、ろうそくをつけなあかん気がして仕方なかった。

棚をひっくり返して見つけたろうそくを 何となくつけてみる。

たまには ええもんやなぁ なんて のんきに眺めてた。。



同じアパートの隣の爺が、ドアをノックする。

なんやろ?

そこで、我らが澄ちゃんが、84年の生涯を終えたことを知らされる。

嘘やろ?

あんなに元気やったのに、あんなに笑ってたのに、あんなに俺を可愛いがってくれてたのに。。

恥ずかしいけど、泣いてもた。。



澄ちゃんって誰やろ?って思うかもしれんから、書くね。

まず、うちのアパートの家主さん。

うちは、今時銀行振り込みではなくて、直接家主さんに、家賃を払うんやけど、

いっつも、あんたは男前やなぁ。。

あんたは、ええ子や ゆーて可愛がってもらってた。

この人は、澄ちゃんなんて簡単に呼んでるけど、実は尊敬に値すべき人

うちのアパートは、不動産屋のリストには、のってない。

おばあ、曰く、不動産屋を通したら、借りる人がお金を余分に払わなあかん

それやったら、可哀想や。。

だから、部屋があくと、(滅多にあかない)玄関に張り紙がしてある。




もうかれこれ 3年の付き合いになる。

俺が、パニックを起こして、導かれるようにきたのがこのアパート。。

ホントは、値段だけ聞くつもりが、その時点で気に入ってくれた。

もう何も残ってないこと、(家や車や仕事や家族や。。。)を話すと、
家賃も割引 保証金も分割でええよと気軽にゆって助けてくれた。


仕事は、あんたは若いから何とでもなるよ!
保証金も割り引いた上に、更に、分割でええからおいで。。
(結局保証金の分割を支払い終えるまで1年もかかってるんやで)


それでも、文句一つ言わんと、寂しないんか?
いつでも遊びにおいでや。。



ある日息子夫妻がきて、残りの保証金の話をしてたら、

もう、この子は、そんなもんええねん!いらん もうええから。。
(これは、俺が断ってきちんと支払ったんやけど)


行くたびに、長い話が待ってた。
もちろんしんどいときもあった
はじめのうちなんか、3時間監禁とかあったもんなぁ。。


でも、絶対人の悪口は言わん人
毎回、なんかくれて、一緒に食べてお茶をして。。
それが、苦痛なときも もちろんあったんやけど 楽しかった。。


変な病気になり、引きこもって、孤独になろう、人との接触をさけよう
そう思ってる俺を、うまいこと道案内してくれた気がする。


それがなかったら、本当に孤独で死んでいたかもしれない。
また、体が浮いたのも、この部屋


うちのアパートには、なんらかの訳ありの人が多い
他人事のようにゆーてるけど 俺もそうかもしれんなぁ。。

結局、正式な賃貸契約書交わしたの1年以上たってからやで〜

澄ちゃんからしたら、こんな俺がどんな経歴があるかなんてどうでもよかった
今の自分を見て 評価してくれた。



あるとき、とある住人を あいつは家賃はらわんで困るわぁ〜ゆーてたから
どれ位滞納してんの?って聞いたら 


当たり前のように 1年半くらいかなぁ?


もう、おいださな あかんで!

そやな でも そうしたら あの人は、行くとこないやろ。。

俺にはそんな甲斐性ないなぁ。。



家賃を持っていったら 毎回 ありがとう ありがとうって言われる
お世話になってるのは こっちやのに。。


もちろん、近所でも人気者で、ヘルパーさんと一緒に車椅子で銀行へ行くのでも
ちょっと ハワイにいってくるわ〜

ほんと嫌味一つ言われた事がない


普通の年寄りは集まれば 嫁の悪口などに走るらしいが 澄ちゃんは絶対しない
嫌な話を 嫌やゆーて話したら もっと嫌やろ?
そやから うちの嫁は出来悪くても うちは ええで〜ゆうてんねん。。

ほんま年寄りが集まったら かなんわ



掃除のおばちゃんは、松澤さんてゆーんやけど

澄ちゃんが呼ぶと いつも 松田さんになってた。

でも、俺が松田さんって呼ぶと、マツダさんや!って怒られる。

いや だから 松田さんやろ?

違う!マツダさんや!

彼女の中では、微妙に違うらしい。。

結局、最後まで、マツダさんやったなぁ。。




うちの隣の爺が調子悪そうやで ゆーたら 音するか?

うん なんか 音はするで。。

ほな 生きとるなぁ。。

そ そやなぁ。。




一時、体の調子が悪いときに 俺がたまにいく 神社でお守りを買っていったら

会う人会う人に この子が買ってきてくれてん

ええ子やで〜

って 何ヶ月も会う人全てにゆーてた

たった、500円位のお守りやのに。。




与える事が いかに自分の為になることか 教えてもらった気がする。




俺が、管理人室に行ったら いっつも笑顔で迎えてくれた。
しんどくて 奥の寝室で寝ていても 必ず出て来た。

他人とは 思えんかったなあ

身内でも何でもないのに、自然に涙があふれて仕方なかった。

今まで、泣くことすら忘れてた様な人間やのに 不思議なもんや。。



うちのアパートは 龍 という字が入ってるんやけど 何で?って聞くと
私は、龍が好きやねん
この辺一帯のアパートは 私が龍ってつけたら みんなつけてたんやで
今は 名前変わって うちだけやけどなぁ。。

書ききれない思い出が 腐るほどある。。




たった3年 されど3年。。




澄ちゃんを尊敬することがある。

澄みちゃんの簡単な生い立ち


山梨で生まれ、毎日当たり前の様に富士山を見て育った その後大阪に。。

当時のエリートサラリーマンと結婚する
年上だったらしく 子供のように可愛がってもらってたらしい
母親が いつも 出来の悪い娘ですみませんってあやまってたとのこと

その話はいつも 嬉しそうにする

幸せな時やったんやろう。。


まだ 子供が小さい頃 子供のブランコが面白そうと思って乗ってみて
寝てる子供の上に 落ちたことがある 旦那さんも 優しい人で 
ったく お前は。。



旦那さんとイナゴをとりにいったら 面白くなって 山ほどとってきた
可哀想やから 炒って食べてみたら まずくて食えんかった
勿体無いから 鳥にやったとか そんな話をたっぷりと聞かせてもらってた



時間がゆっくりと過ぎてた事を、今になって感じる。

人間ちゅうのは、つまらんもんで、なくなってみなわからん事って、多すぎるよなぁ。。



でも、84歳でなくなった訳やけど、実はもう50年以上も前に、
その旦那さんも、子供二人も亡くしてはる。。



今は家主として頑張ってたけど 丁度俺くらいの歳に
配偶者や子供を二人も亡くすのは どれだけ辛かったやろう?


それでも 負けずに のし上った彼女は凄いよ
ちょっと別れたくらいで だらだらしてる俺なんか 足元にもおよばんわ



アパートをやって、いろんな人が このアパートに助けてもらい 巣立っていった

人間がみんな あんな人やったら 争うこともないんやろなぁ。。

ほんと 心からお疲れさんって言いたい


話を聞いて 声を殺して泣いた
もう ゆっくりしいや
旦那さんやお母さんに大事にしてもらえよ
上手いこと 三途の川を渡れよ
あんたなら大丈夫や。。


そして、ありがとう




次の日通夜に行く

前のスーツが合わなくて 結局急ぎで買う羽目に。。
シャツやネクタイもあったはずやけど どこにしまったのか?
既にないのか 思い出せんから それも買う事に

痛い出費や。。
それでも、見送りたかった


香典の袋をみて また 黒いネクタイをしめながら 出来ることなら もう二度と見たくないよなぁ
使いたくないよなぁ。。とずっと思ってた。

でも、世話になったどころか 命を助けてもらった人を見送るときには 
せめて きちんとした服装で送り出したい。

後の事は後で考えたらええ
必ず何とかなるから。。

何とかそろえることが出来ただけでも ラッキーかもしれん


会場に入って 思ってたよりも人は少なくて 

お経があげられ 焼香して 淡々と式は進んでいった


まるで 当たり前の様に。。


最後 どうしても 澄ちゃんを見たいと思ってたら 遺族の人が 見せてくれはった。









くそばばあ!

気持ちよさそうに寝やがって!!

幸せそうな顔して 寝やがって!

俺はあんたに まだ 何の恩返しもしてへんやろ!


無事に天国へいけることを 祈ることしか出来ん自分が 悔しかった


また いつもみたいに 笑えや。。

いつもみたいに 手握れや。。









人を見送る事ってのは 複雑やなぁ。。

ここに助けてもらって 3年

石の上にも3年

俺も 旅立ちの時なんやろか?


玄関入って 管理人室の電気がついてないだけで アパート中が暗い感じや

あんたの存在の大きさに、ほんと頭が下がる。

帰りの送迎バスに乗っていると、少し雨が降った。

俺が葬儀に関わると、いつも そうだった様な気もする。




優しい 龍も 無事に旅立てたのだろうか?




澄ちゃんからの メッセージの様な気がして 仕方ない。。





辛い人生を 泣き言一つ言わずに 朗らかに生き抜いた 澄ちゃんに

心から お疲れ様でした。


そして、ありがとう。。

合掌


PS 夜中にどうしても眠れずに、近所の氏神さんに、無事に極楽浄土に行けるように
お参りしてきた。
食事をとってない事に気がついて、赤飯とビール。。
変かもしれんが、俺にとっても、澄ちゃんにとっても、新たな出発の様な気がした。


何度生まれ変わっても、また、逢おうぜ!


暫く、眠れない日々が続きそうだ。。


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